今回は、イタリアの建築・デザイン界に大きな影響力を持つデザイナー「マリオ・ベリーニ(1935年~)」をご紹介いたします。彼は数多くの名作家具を生み出すだけでなく、デザイン誌「DOMUS(ドムス)」の編集長としての活躍で世界にその名を知らしめた人物でもあります。
彼の生涯は、1935年イタリアはミラノに生まれたところから始まります。1959年にはイタリアの名門、ミラノ工科大学建築家を卒業し、1961年に26歳にしてイタリアの有名百貨店「ラ・リナシェンテ」のデザイン部長に抜擢されます。
しかし、そのポストにはわずか2年しかいませんでした。1963年には独立し、イタリア企業のオリベッティに、あのエットーレ・ソットサスと共に招聘され、電子タイプライターや計算機などのデザインを手がけ、数々の成功を収めたことにより、オリベッティを国際的な企業へと押し上げました。
1975年にオリベッティを去った後は、自身の作品をデザインして行きます。金属フレームを上質の革で包み込んだ「CAB chair(キャブチェア)」をカッシーナから発表したのを皮切りに、B&Bイタリアやヴィトラのオフィスチェア「イプシロン」、アルテミデ、フロス、エルコの照明等、多くのメーカーから自身の作品を多く発表しました。日本でもヤマハの電子オルガンや象印の電気ポットなどをデザインしています。
特にカッシーナから発表したキャブチェア(1977年発表)は、イタリアモダンデザインを代表する椅子として絶賛されました。金属のフレームに高級感あふれる革のジャケットを被せると言う画期的な発想で、背もたれのフィット感と抜群の座り心地を実現しています。当然ながら、この作品はMoMA(ニューヨーク近代美術館)の永久コレクションとして収蔵されています。また、イプシロンは、オフィスチェアの代表的な作品としても知られていますよね。
これまで多くのプロダクトを手掛けてきたベリーニですが、その多忙さから、建築には全くと言って良いほど手を付ける事が出来ませんでした。デザインから建築へ転換するにはなかなかリスキーな事でしたが、徐々にその功績を積み上げて行きます。
そんな中で1992年に手掛けたのが日本の「東京デザインセンター」(東京・五反田)です。それと同時に「横浜ビジネスパーク」のプロジェクトである「ベリーニの丘」(水のホールを中心とした円形の構造でも知られる施設)も手がけました。ほぼ同時期に手掛けたこの作品たちは、彼にとって印象的な作品となりました。
今では、イタリアをはじめ、ドイツやフランス、アメリカ、オーストラリアなど世界各国で建築を手掛けています。今でも活躍を続けるマリオ・ベリーニ。彼はこれからも、新しいデザインを生み出し、我々を楽しませてくれるはずです。
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