塗装の種類を紹介。

塗装についてVol.9 ~エナメル樹脂塗装とは~

金属系の素材やプラスチック系の素材への塗装にはいろいろな方法がありますが、今回はエナメル樹脂塗装について紹介していきます。
日本では、乾燥の速さと塗膜の強さからラッカー系の塗装が主流となっていますが、乾燥時間に余裕のある場合は湿気に強いエナメル樹脂塗装がおススメです。
エナメル樹脂塗装は、ラッカー塗装のように揮発によって塗膜を作るのではなく、空気との化学反応により塗膜を作ることができます。したがって、空気中に有毒な成分が少なくなり健康への被害を抑えることができます。
健康への害を考えるとアクリル塗装が一番低いと言われていますが、下処理などの手間がかかるため、エナメル樹脂塗装が使われることも多くなっています。
最近では、男前インテリアやインダストリアルスタイルに挑戦している方も多くなっています。当然、塗装などを行う方も多く、その際に、金属系の素材やプラスチック系の素材への塗装もあります。様々な場面で行う塗装の中でも、光沢感が必要な場面にこのエナメル樹脂塗装が活躍してくれます。重ね塗りを行えば塗装ムラも抑えることができますし、光沢感をさらに出すことができます。
ラッカー塗装の上からの重ね塗りや、エナメル樹脂塗装の上からさらに重ね塗りを行う事ができますので、それも便利な点です。
しかし、デメリットの面も多く取り扱いには十分な注意が必要です。
エナメル樹脂塗装のメリット
・空気中へ放出される有毒成分が少ない
・光沢感が演出できる。
・金属系、プラスチック系の素材でもきれいに塗装できる。
エナメル樹脂塗装のデメリット
・乾燥への時間がかかる。
・空気との化学反応で乾燥するため、空気に長時間触れないようにする必要がある。
・エナメル樹脂塗装の上にラッカー塗装は行わない。(※ラッカーにより塗装が剥がれてしまうため。)
・一度固形化してしまった塗料は使えなくなってしまう。
様々な塗装方法がありますが、素材に合った塗装方法や健康への害などを考慮して適切な物を使っていきたいですね。

 

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塗装についてVol.8 ~ワックス塗装とは~

今日はワックス塗装について書いていこうと思います。
ワックス塗装とよく似た塗装方法で、オイル塗装が挙げられます。この2つは浸透性の塗装方法なので非常によく似ています。

では、その違いは何処にあるのでしょうか。
木の質感を楽しむ事ができる塗装という点ではオイル塗装の方に分があります。
ワックス塗装に比べてオイル塗装は木材に良く浸透し、木目を綺麗に見せることができますし、表面に硬い幕を作らないので木の質感も同時に味わう事ができます。

ワックス塗装はオイル塗装には劣りますが木の質感を楽しむこともできます。しかし、オイル塗装のように木に浸透するというよりは、木の表面に留まり汚れから木を守る塗装と言うイメージの物。そのため、濡れたような仕上げにはならず、無塗装に近い仕上がりで、白色系の木材とはとても相性の良い塗装です。

では、どのようなワックスの種類があるのでしょうか。ワックス塗装では蜜蝋樹脂ワックスが有名です。これは蜜蝋と亜麻仁油が主成分の塗料です。無塗装に近い自然な仕上がりで、木そのものの色や手触りを活かすため、メープルやカバザクラなど明るい色の広葉樹に良く用いられています。それ以外に白木を活かす専用のワックスも出ています。

良いことが多いように思うこのワックス塗装ですが、木材を保護するという面においてはウレタン塗装よりかなり劣ります。ですので、土足で使用する場所でワックス塗装を使ってしまうと、汚れがかなり目立ちますのでお勧めできませんね。
メンテナンスの面でも、ウレタン塗装とは違い1年に1度は再塗装していきたいですね。日常のお手入れには水性のクリーナーなども出ているので、こういった物を合わせて使ってゆくと良いと思います。

 

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塗装についてVol.7 ~ラッカー塗装~

家具の塗装にはいろいろな種類があります。役割は汚れの防止や木材そのものを保護する為の物だったりと様々です。

例えば、以前紹介したウレタン塗装。
ウレタン塗装は、今使われている塗装の中で一番使われている塗装方法です。
特徴は、熱や傷に強く特に手入れもいらないというもの。もちろんデメリットもあります。それは一度傷がつくと元に戻せないという事。当然と言えば当然ですよね。それ以外には、木材を完全に近い状態で保護してしまうので経年変化を楽しむことができないという点。木材は使えば使うほど変化が出てきますので、それを楽しみの一つとしている人も多いはず。ウレタン塗装はそれができないというデメリットがあります。

そこで、木材の経年変化を楽しみたい方には、ラッカー塗装をお勧めします!!
この塗装はウレタン塗装が出てくる前までは主流の塗装方法でしたが、塗膜自体が弱いため、熱に弱いと言うデメリットがありました。熱いものを置いてしまうと白い染みが残ってしまう事も!そして、定期的なメンテナンスも必要だったため、手間もかかりました。

デメリットがあまりにも大きいため、ウレタン塗装の登場と共に徐々に使われなくなってきたこのラッカー塗装ですが、DIYの流行と共に、ビンテージ感やアンティーク感を求める人が多くなり、再び使われる機会が多くなってきました。なぜかと言うと、ラッカー塗装はアンティーク家具に多く用いられているため、補修した後に再度塗装を施す際に使用したり、自分で作った家具をラッカー塗装することにより、ヴィンテージ感の演出ができるからだと言われています。

細かい手入れは必要ですが、ウレタン塗装と違い塗膜自体が弱いため、木そのものの経年変化も楽しむ事ができますから、家具そのものに愛着も湧いてくるのではないでしょうか。

 

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塗装についてVol.6 ~水性塗料~

今流行りの男前インテリア。ビンテージ感漂う空間が男前!!と話題になり今とても人気のあるスタイルですよね。

DIYブームの中、この男前インテリアを自分の手で作り上げている人も多いのではないでしょうか。
そんな人たちには欠かすことのできない水性塗料。今まで使っていた家具に自分で色を付けたり、さらには塗装した家具にエイジングを施したりしていると思います。

単に無垢の木材に塗装をするのであれば、オイル塗装ウレタン塗装、さらにはセラウッド塗装等がありますが、すでに塗装されている家具にさらに色を付けたい場合には、この水性塗料が一番お手軽な塗装方法だと思います。特に色の濃い家具にはとても効果的。極端に言えば、黒色の家具を白色にするのも簡単です。
ただし!注意することもあります。

出来上がっている家具にそのまま塗装しても塗料がはじかれてしまう事があります。それはすでに塗られている塗装の影響があるからです。そこで行うのがヤスリがけ。つやがなくなるまでヤスリがけすれば後はその上から塗るだけです。完成度を上げたい方は、1度塗るだけではなく、2度塗りした方がきれいに仕上がりますよ。

ここにエイジング塗料で、長年使いこんだような風合いを演出してあげれば、ビンテージ感の演出が簡単に行えます。そうすれば男前インテリアにもピッタリとマッチしてくれる家具を仕上げることができます。
このエイジング塗料は、塗った後のふき取り具合でエイジング具合を調整できるのでとても便利。エイジングを施した後に、オイル塗装をしておけば、水性塗料が剥がれにくくなってくれます。

 

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塗装についてVol.5 ~セラウッド塗装とは~

セラウッド塗装とは、2011年ごろから徐々に使われ始めた塗装方法で、特徴は光沢感をおさえて木の表情や手触り、木の温もりを感じることができる事。簡単に言うと、従来のウレタン塗装の弱点を見事に補う事が出来た塗装方法と言っても良いと思います。また、塗装回数や種類を工夫すれば光沢感を演出することも可能になるそうです。

このセラウッドは、高強化のウレタン樹脂超微粒子ファインセラミックスを配合した塗料で、耐久性は抜群!また人体や環境にも配慮された塗料として「F☆☆☆☆」も取得しています。

今までのウレタン塗装よりも、汚れや紫外線、熱にも強いという事もメリットとなっています。特に汚れについては、インクやマジックも簡単に落とすことができます。
セラウッド塗装のメリット
・高い耐候性・耐汚染性・耐熱性・耐久性があります。
・光沢感を抑えることで、木の表情や温もりを感じることができる。
・メンテナンスも簡単!ちょっとした汚れは水拭きで十分綺麗になります。
・定期的なメンテナンスは必要ありません。
・シックハウスの要因物質は一切配合していません。
セラウッド塗装のデメリット
・材料費が若干高い
・傷、凹みの補修が難しい。
今までの塗料であれば、どこかを諦めなければいけないところがありましたが、この塗料はほぼ完璧!と言っても良いでしょう。窓際にテーブルを置くシチュエーションや、お子様が居るご家庭にはおススメの塗装ですね。

 

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塗装についてVol.4 ~ガラス塗装とは~

現在、様々な塗装方法がありますが、今回は今一番新しいと言われている塗装方法である「ガラス塗装」をご紹介します。
一般的にガラスと言えば数千度という高温でないと溶けないというイメージがありますが、現在では技術の発展によりそれほど熱しなくても液状化したガラスを作り出せるようになってきました。
それほど熱することなくガラスを作れるようになったことで、あらゆる技術で不可能と思われていたことが可能になってきています。
一番の利点は、一般的な塗料と違い有害な有機溶剤を一切使用せず作り出せるため、環境と人にやさしい塗膜型塗料を作り出すことができたという事です。

このガラス塗料は可撓性に富み、紫外線に強く超耐久性を発揮するとともに、不燃性、撥水性、耐透水性、耐薬品性、耐汚染性にも優れています。そして、コンクリート、モルタル、金属、木材など幅広い基材に常温で被膜を形成することができるのも特徴の一つです。極端に言うと紙にも塗ることができるそうです。

ガラスの皮膜をもつホーローは、高温で製造することが基本的な製造方法でしたが、このガラス塗装の登場により高温処理の為不可能とされてきた木材にもホーローができるようになりました。

このガラス塗装はメリットとなる点が非常に多く、デメリットはあまり思い浮かびませんが、あえていくつか挙げるとすれば、伸縮性のある素材には使用できないという事と、浸透すると若干濡れ感が出てしまうという事でしょうか。先に述べた点は、伸縮性のあるものだとヒビが入ったようになってしまうことがあるようです。

最近では使われる頻度も多くなってきたガラス塗装。それと比例して適正なガラス塗料が使われていないという事も出てきているようです。適正な物なのかを見分ける方法は、燃えるかどうかという点です。適正な物はガラスを使用していますから簡単には燃えませんので一つの目安として覚えておくと良いかもしれませんね。

 

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塗装についてVol.4 ~石鹸塗装とは~

日本ではあまり耳にしない「石鹸塗装」。いったいどんな塗装なのでしょうか。
実はこの塗装方法は、日本で耳にしないだけでヨーロッパ(特にデンマークなどの北欧)では「ソープフィニッシュ」という呼び方で、昔から伝わる最もポピュラーな塗装方法なのです。この塗装は、木材の保護塗料として石鹸を塗り付け、木材自体の汚れを防ぐ方法。石鹸の成分は油脂であり、水で溶いて塗ることによって木部に浸透しやすくなり、乾燥すれば木に油分だけが残るという訳です。

オイル塗装とかなり近い方法ではありますが、オイル塗装よりも油膜は薄く、木が呼吸をし、木そのものの質感をさらに感じることができる塗装です。仕上がりが濡れ色にならず、白木の美しさを最大限に引き出すことができます。

例えば、ハンス・J・ウェグナーの「Yチェア」には、この方法が使われている仕上げがあります。

弱点としては、オイル塗装より保護力が弱いため、年に数回塗りなおす必要があることと、食品(特に酸性のもの)には弱いと言われています。あとは塗装後は少し白くなるので、濃い目の木材には向いていないと言えますね。

最近では、撥水効果を持たせた商品も開発されているようなので、より多くの場面で使えるようになってきています。
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塗装についてVol.3 ~オイル塗装とは~

オイル塗装とは、木材の表面にオイルを染み込ませ、木の表情を浮かび上がらせてくれる仕上げです。また、木材の表面が硬化され汚れを付きにくくしてくれる効果もあります。塗膜を形成していないため、木材は常に呼吸をしている状態にする事ができます。

オイル塗装のメリット
木材が常に呼吸している状態にする事ができる。
・木の質感を残す事ができる。
・植物油が主原料なので、シックハウス症候群の方にもオススメ

オイル塗装のデメリット
・オイル塗装が酸化する事で黄変する事がある。(白い木材への使用は注意)
・数年に1度はメンテナンスをした方が良い。(木材の風合いが長続きします)
・一般的なオイルは、硬化時にホルムアルデヒドを微量に発散する事がある。(完全硬化するまで注意が必要)
では、オイルにはどのような種類があるのでしょうか。
代表的なものは、シソ科の荏胡麻(エゴマ)の種子から搾取する荏油(じんゆ)や、亜麻科の亜麻(アマ)の種子から採れる亜麻仁油(あまにゆ)がよく知られていますね。

このオイル塗装とよく混同されるのがワックス塗装
木の質感を楽しむ事ができる塗装という点ではオイル塗装と同じですが、オイル塗装のように木に浸透するというよりは、木の表面に留まるという形になります。そのため、濡れたような仕上げにはならず、無塗装に近い仕上がりになります。
以前書いた、ウレタン塗装や今回のオイル塗装など、室内で使用するときは環境に配慮したものを使用したいですね。
ワックス塗装の詳細についてはまた改めて書かせていただきますね!

 

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塗装について Vol.2 ~合成樹脂塗装とは~

現在、塗装の中で最も使われているのが合成樹脂塗装と言われています。
特に家具では全体の6割~7割はこの塗装が使われています。理由は様々ですが、コストが安く安定性があるという事が一番の理由のようです。

メリットが多いように思えるこの塗装、なぜすべての家具に使われていないのでしょうか。
理由は、この合成樹脂が石油化学製品から作られているためシックハウス症候群等が危惧されているためのようです。
近年では、環境にも健康にも考慮された塗料(F☆☆☆☆)が使われるようになってきており、シックハウス症候群を引き起こすような塗料は、使われる割合も徐々に少なくなって来ています。
ただ、この塗料は安定性が悪いとされているため、塗装には相応の技術が必要と言われています。
合成樹脂塗装は、ウレタン塗装やアクリル塗装など、塗料の種類により呼び方が違ってきますが、その中から家具に多く使われているウレタン塗装について少し書いておきます。
このウレタン塗装は、家具の仕上げはもちろん、フローリングにも使われていることが多い塗装です。
(車の補修にも使われていたりしますね。)

ウレタン塗装のメリット
・塗装後の光沢感や付着性に優れている
・塗膜を作ることで汚れを付きにくくすることができる。
・紫外線などに対しての耐侯性が高い。
・木の呼吸を抑制するので割れや反りが発生しにくい

ウレタン塗装のデメリット
・化学物質を含む
・プラスチックのような冷たい質感になってしまう。
・塗装が剥がれた際は、修復が難しい。
この塗料については、化学物質が含まれる物もありますので、塗装の際は十分に注意する必要があります。
塗装の方法や種類により、家具の価格も異なってきますので、購入の際に少し注意して見てみてください。
次回の塗装についてのシリーズは、「オイル塗装」について書いていきます。

 

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塗装について Vol.1 ~木材にはなぜ塗装が必要なのか~

家具には様々な塗装が使われているのはご存知でしょうか。同じ木材でも塗装を変えるだけで雰囲気は一変します。
今回は、そんな塗装について少し紹介したいと思います。

まずはなぜ塗装をするのかという事に触れてみたいと思います。
1つ目の理由は仕上げを綺麗に見せたいから!
これは当然と言えば当然。職人が丹精込めて作る家具たちは本当に素晴らしいものが多いです。そんな家具をより一層輝かせるものが塗装と言っても良いかもしれません。より木目が綺麗に見えるようになったりもしますね。
そして2つ目が、汚れが付きにくいようにするため!

塗装をせずそのままにしておくと、水などの液体によりシミがついたり、カビが生えたりしてしまいます。
そこで塗装をしておけば水などの液体が染み込むことを防ぎ、シミの防止にもなりますし、カビの発生も抑えてくれます。
そして最3つ目が腐食の防止!
これが最大の理由と言っていいかもしれませんね。木材は基本的には湿気に弱く、木材自体が湿った状態が続くとすぐに腐ってしまいます。(※ヒバやヒノキ等、一部湿気に強い木材もあります。)

そこで塗装を施し、湿気が木材に入り込まないようにしてあげるのです。
他にも色あせの防止や最近流行りのダメージ感の演出をするための塗装など、塗装する理由は様々ですがメリットの方が大きいからこの作業を行うと言ったところでしょうか。

もちろん、塗装がされていない無垢の木材を楽しむこともあります。
木の香りや質感、木が持っている空間の清浄作用を目的としている場合等、あえて塗装を行わないことで木そのものを味わうことができます。
まだまだご紹介したい「塗装について」の情報がありますが、それはまたの機会に致しますね。

 

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