いろいろなデザイナーVol.27　～アッキレ・カスティリオーニ～

今回は、デザインの分野においてイタリアの巨匠と称され、称賛の言葉と共に世界的に高い評価を得ているデザイナー「アッキレ・カスティリオーニ（１９１８年～２００２年）」をご紹介いたします。

カスティリオーニは１９１８年にイタリアのミラノで生まれました。建築学はミラノの名門であるミラノ工科大学で学び、１９４４年に建築学の学位を取得し卒業します。

卒業後すぐに、兄のリヴィオ・カスティリオーニ、ピエール・ジャコモ・カスティリオーニと共に事務所を立ち上げ、デザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。仕事は、都市計画や展示会から、家具や小物に至るまで様々な設計を行っていましたが、リヴィオの独立後、家具や照明のデザインを主な仕事とし、独自の感性を表現していきます。

１９６２年には、家具や照明のデザインを行うFLOS（フロス）社設立の際に、デザイン部門の責任者として招聘されます。そこでは、様々な素材と技術を用いてデザインを行い、新作を次々と生み出していきます。その代表的なデザインが、優美なアーチを描く照明「アルコランプ」でした。とても個性的なこのデザインは、一度見れば忘れる事の出来ないほどの存在感があり、このデザインで世界的にも名前を知られたデザイナーへと成長していきます。１９５６年に設立されたインダストリアルデザイン協会（ＡＤＩ）による文化活動にも積極的に参加しており、６８年にジャコモがなくなるまでその活動が続きました。

ジャコモが亡くなった後からは、ミラノ工科大学、トリノ工業大学で教鞭をとります。ここでは、若いデザイナーの育成にも貢献していきました。もちろん、自身での活動も継続しており、コンパッソ・ドーロ賞は通算７回受賞するなど、数々の賞を受賞して行きます。８６年には、ロンドン王立美術アカデミーにおいて工業デザイナー協会の名誉会長も務める事になります。９３年ごろまでミラノ工科大学で教授を務めていましたが、その後退職し、自身の仕事に集中して行きました。そして、２００２年に亡くなってしまいます。享年８４歳。

イタリアにおける革新的な工業デザインの先駆者としても知られたカスティリオーニ。彼の作品の多くは、ニューヨーク近代美術館（ＭｏＭＡ）や、ビクトリア＆アルバート博物館等、多数の美術館に収蔵されています。

「デザインとは、デザイナーの個性を主張するのではなく、使う人や生活者の視点でモノ作りをすることである」と言う信念を貫いた彼は、イタリアデザインのマエストロ等、様々な賞賛の言葉と共に、世界的にも認められた存在として知られています。

• 2017-10-09