今回は、ミッドセンチュリーを代表するデザイナーであり、線の魔術師の異名をもつデザイナー「ハリー・ベルトイア(1915年〜1978年)」をご紹介いたします。ハリー・ベルトイアと聞いても、「??」となってしまう方も多いかもしれませんが、彼のデザインした椅子を見れば必ずわかるはずです。
彼は、イタリアで生まれましたが1930年に家族と共にアメリカへ移民します。アメリカで大学を卒業し、その後美術アカデミーにも通います。卒業後には同アカデミーで金属工房を設立し、そこで学部長として指導にもあたりました。この美術アカデミーでは、イームズやサーリネンとの出会いもありました。アカデミーでの指導が落ち着くとカリフォルニアに移り住み、イームズらと共に成型合板の研究・開発を行います。そこで、彼の代表作の基となるワイヤーシェル構造を考え出します。
ワイヤーシェル構造の研究・製作を行っていたベルトイアですが、彼よりも先にイームズが金属ワイヤーを使ったチェア「ワイヤーメッシュチェア」を発表してしまいます。金属ワイヤーを使った椅子の案は間違いなくベルトイアのものだったのですが、イームズに先を越されてしまったわけです。
それから間もなくイームズの事務所「プライフォームド・プロダクツ・カンパニー」から離れ、美術学校からの友人で、彼の実力を高く評価していたノール氏が経営する会社へ移ります。そこで彼の代表作となる「ダイアモンドチェア」を製作します。
このダイアモンドチェアは、金属彫刻家としての知識と経験を生かし、スチールワイヤによるシェル構造で椅子をデザイン。彫刻のようにあらゆる方向から眺められる椅子で、美しい曲線は椅子本来の目的である「座る」ということよりも、飾っておきたいと思わせるほどです。
さらに、同じ素材の「ベルトイアサイドチェア」を作りましたが、彼が手掛けた椅子はこの2つのみ。以降は彼が好きだった彫刻家や音響作家としての人生を歩んでいきます。
ミッドセンチュリーを代表する椅子である「ダイアモンドチェア」。この椅子をデザインしたのがベルトイアだと知っている人は少ないかもしれません。しかし、優しい曲線と見た目からは想像できない座り心地の良さはなんとも言えないものがり、記憶に残る椅子といっても良いかもしれませんね。
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