日本ではあまり耳にしない「石鹸塗装」。いったいどんな塗装なのでしょうか。
実はこの塗装方法は、日本で耳にしないだけでヨーロッパ(特にデンマークなどの北欧)では「ソープフィニッシュ」という呼び方で、昔から伝わる最もポピュラーな塗装方法なのです。この塗装は、木材の保護塗料として石鹸を塗り付け、木材自体の汚れを防ぐ方法。石鹸の成分は油脂であり、水で溶いて塗ることによって木部に浸透しやすくなり、乾燥すれば木に油分だけが残るという訳です。

オイル塗装とかなり近い方法ではありますが、オイル塗装よりも油膜は薄く、木が呼吸をし、木そのものの質感をさらに感じることができる塗装です。仕上がりが濡れ色にならず、白木の美しさを最大限に引き出すことができます。

例えば、ハンス・J・ウェグナーの「Yチェア」には、この方法が使われている仕上げがあります。

弱点としては、オイル塗装より保護力が弱いため、年に数回塗りなおす必要があることと、食品(特に酸性のもの)には弱いと言われています。あとは塗装後は少し白くなるので、濃い目の木材には向いていないと言えますね。

最近では、撥水効果を持たせた商品も開発されているようなので、より多くの場面で使えるようになってきています。
ハプセント